2.契約
●映画技術者との契約:
一般的には日給により契約、基本的には実働8時間を1日としますが、多少幅を認めての契約をするケースが多いようです。移動日などに関しての拘束は、上級技術者は半日分、下級技術者は1日分と考えますが、それに関しては交渉次第です。日曜・休日は2倍と考えるのが一般的です。
●映画労働者との契約:
ほとんどの場合、協会で指針として6ヶ月に一回ずつ出している組合規定賃金(tarif syndical) にもとづいて、時給計算をしたもので支払われるの
des ouvriers が一般的です。この料金計算では、平日の(土曜日を含む)場合実働8時間までを規定時給単価で支払います。
8時間を越える20時迄は規定時給の100%増し(規定時給の2倍)。20時以後は、規定時給の200%増し(規定時給の3倍)、を支払うことになります。
日曜日・休日の労働は、始業から100%増しで、8時間を越える休日労働は、200%増しの支払いが要求されます。
また、昼食の休憩(無給)1時間、および20時間を越える夜間作業の場合19〜20時の間、1時間の夕食休憩を厳守することが、規定されています。
なお、この規定は食事のメニューにまでおよんで居り、各食オードブル 一皿、温かい肉料理、デザート、ワイン1/2本程度を出す事が目安となっています。
EUの多くの国では、労働基準法により、1日に12時間以上の労働を強いることは禁じられてい上、次の始業まで最低12時間の間隔を置くことを義務づけられています。(徹夜で撮影した時など、翌日の仕事開始時間に適用されます)
照明助手、グリップ、ジェネレーター運転手などは仕事の性格上、機材等を撮影場所に運ぶ一時間くらいの習慣的なトランスポートも、就業の時間に含まれます。また同様に、撮影準備や終了後の機材返却なども一般的に彼等の仕事で、当然給料の対象になります。
●俳優等出演者との契約:
俳優協会と映画制作者連盟の間で取り交わされたコマーシャル・フィルム出演者の最低給料の規定によると、2002年1月現在、主演者の日給は約1,000EURO以上とされます。リハーサルなどを含まないオーディションは1回無料ですが、台詞などを喋らせるシミュレーションのオーディションをした場合や衣装合わせなどの打ち合わせには、給料が発生すると規定されます。その他主役以外の出演者やエキストラなどの台詞の有無や同時出演者の人数によっても細かく出演料が分かれており、大変複雑です。しかし、よほど多数のエキストラを出演させるのでなければ、予見に見合った額で、個々と出演料の契約を行う解決してゆく事が可能です。
ここで日本のプロデューサーが、ぜひ知っておかなければならない重要な事は、上記の出演料以外に、TV-CFの場合、コマーシャルフィルムにおけるテレビ放映料(Droit
de paage)の契約条項がある点です。これは、人の顔を使うことで生じる、著作権のようなものと考えればよいのですが、日本ではあまりこの問題について知られておらず、往々にして問題になりがちです。
もちろん、このテレビ放映料も個々のケースによって異なるわけですが、ちなみに上記の最低給料規定の中での放映域別の1クール(3ヶ月)契約額をあげますと、主演者の放映が日本のみの場合は、おおよそ出演料と同額(100%)から120%増の放映権料となります。
以上はフランスの例ですが、英国の俳優協会はBuyout(買い切り)というシステムで、日当の4倍と決めています。これは、個々の出演者の出演料との比率によって増加して行くわけで、最初の出演契約の段階で、条件交渉を明確に
にしておかないと、後日大きなトラブルの対象になりかねません。
以上、映画制作に携わる技術スタッフ、出演者などの給料に関して説明して来ましたが、人件費の中には、給料とは別に必ず社会保障制度の納付金が含まれます。
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