●スタン・ブラッケージ 映画の極北 メールニュース
NO.7
2002.1.28
○前号から間が空いてしまい、申しわけありませんでした。今年もどうぞよろしくお願いします。
○ミストラルジャパンのホームページがリニューアルしました!
○「BRAKHAGE EYES」渋谷アップリンクファクトリーにて再上映!(2/2〜2/11)
○「BRAKHAGE EYES」ビデオ全3巻いよいよ発売!(2/25)
○2003年スタン・ブラッケージ回顧展実行委員会がいよいよ始動します。詳しくは本文にて。
○ブラッケージについて、個人的な思い、受けた影響、作品批評、もろもろを心ゆくまで語っていただくリレーエッセイ『私とブラッケージ』コーナー!第3回はパリで活躍中の映像キュレーター説田礼子さんPart1です。
○ブラッケージ関連ではなくても結構です。実験映画上映などのお知らせコーナー。紹介してほしい情報も受け付けています。
◆これまで、メールニュース配信が主でしたが、ブラッケージに関する投稿も積極的に受け付けます。どうぞブラッケージに関して自由な意見交換をお願いします。アドレスは、
stan@freeml.com
メールニュースも引き続き配信いたします。お寄せいただいた実験映画、個人映画の上映会情報などは、ニュース配信の際に流しますので、ミストラルジャパン(info@mistral-japan.co.jp)までお願い致します。
★ミストラルジャパンホームページ リニューアル!
2002年1月1日より、ミストラルジャパンのホームページがリニューアルしました。これまで以上にブラッケージ情報他、ミストラルからの配給情報を充実させていきますのでぜひ御覧ください。
http://www.mistral-japan.co.jp
★「BRAKHAGE EYES」2002.2/2より渋谷アップリンクファクトリーにて再上映!
昨年7月にBOX東中野で公開した「BRAKHAGE EYES」を各地での上映を経て、ふたたび東京で上映致します。見逃した方はぜひ御覧ください。
●プログラム
A:『FIRE OF WATERS』『窓のしずくと動く赤ん坊』『夜への前ぶれ』
B:『THE DEAD』『思い出のシリウス』『MOTHLIGHT』『自分自身の眼で見る行為』
C:『DOG STAR MAN(完全版)』
●日程
2/2(土)15:00〜A 17:00〜B 19:00〜C
2/3(日)15:00〜A 17:00〜B 19:00〜C
2/4(月)17:00〜B 19:00〜C
2/5(火)17:00〜A 19:00〜B
2/6(水)17:00〜C 19:00〜A
2/7(木)17:00〜A 19:00〜B
2/8(金)17:00〜A 19:00〜B
2/9(土)15:00〜A 17:00〜B 19:00〜C
2/10(日)15:00〜A 17:00〜B 19:00〜C
2/11(月.祝)15:00〜A 17:00〜B 19:00〜C
●場所・問い合わせ
渋谷UPLINK FACTORY tel:03-5489-0750
http://www.uplink.co.jp
●料金
¥1300(1ドリンク付)※リピーター¥1000(1ドリンク付)
★「BRAKHAGE EYES」ビデオ全3巻2002年2月25日発売!
スクリーンを見る、生を見る、死を見る、己を見る、人間を見る、日常を見る、欲望を見る、闇を見る…。
「スタン・ブラッケージ作品集 BRAKHAGE EYES(ブラッケージ・アイズ)」ビデオ全3巻 2002年2月25日いよいよ発売!
2001.2月に発売し、大好評を博している『DOGSTAR MAN』の監督スタン・ブラッケージが『DOGSTAR MAN』の前後に制作し、“映画を撮ること”“生きること死ぬこと”が一体化した、“映画の極北”とも言われる7作品を収録した「スタン・ブラッケージ作品集 BRAKHAGE
EYES(ブラッケージ・アイズ)」をミストラルジャパンビデオより全3巻で発売致します。
収録作品は、人間の持つ生と死への憧れと挫折を映像化した『夜への前ぶれ』、事故で死んだ愛犬の腐乱していく姿を撮り続けた『思い出のシリウス』、愛妻ジェーンの出産シーンを記録した愛の詩『窓のしずくと動く赤ん坊』、蛾の羽、葉っぱ、花びらそのものをフィルムに貼り込んだカメラレス映画の代名詞『MOTHLIGHT』、死体検死の様子を望遠レンズで凝視した超問題作『自分自身の眼で見る行為』など、日本初公開を含む7作品。「スタン・ブラッケージ作品集 BRAKHAGE
EYES(ブラッケージ・アイズ)」は〈映画とは何か?〉また〈映像を見る行為とは何か?〉を問いかけます。
※通信販売、店頭販売のご注文予約を受け付けております。
info@mistral-japan.co.jp
ミストラルジャパン 片山まで。
スタン・ブラッケージ作品集
BRAKHAGE EYES VIDEO 全3巻
定価 各巻4,000円+税 視聴覚ライブラリー価格15,000円+税(学校、図書館、公共施設などでご購入の際は視聴覚ライブラリー価格になります)
スタン・ブラッケージ作品集
BRAKHAGE EYES 1 (40分)
夜ヘの前ぶれ ANTICIPATION OF THE NIGHT 16mm color 40min. 1958
スタン・ブラッケージ作品集
BRAKHAGE EYES 2 (41分)
FIRE OF WATERS 16mm B&W 7min. 1965
思い出のシリウス SIRIUS REMEMBERED 16mm color 11min. 1959
THE DEAD 16mm color 11min. 1960
窓のしずくと動く赤ん坊 WINDOW WATER BABY MOVING 16mm color 12min. 1959
スタン・ブラッケージ作品集
BRAKHAGE EYES 3 (36分)
MOTHLIGHT 16mm color 4min. 1963
自分自身の眼で見る行為 THE ACT OF SEEING WITH ONE'S OWN EYES 16mm color 32min. 1971
★「スタン・ブラッケージ回顧展」開催に向けての呼びかけ
2000年に『DOG STAR MAN』が日本で初めて完全版として劇場公開され、フィルム・メディアにおける究極の映像表現としてデジタル世代にも大きな反響を巻き起こした、個人映画作家の巨人スタン・ブラッケージ。50年にも及ぶ映像作家活動の間に制作された約350本以上の作品のうち、日本で正式に公開された作品はわずか20本程度しか
ないのが現状です。
しかし日本でも『DOG STAR MAN』以降、2001年に「BRAKHAGE EYES」と題した作品集で、初期の傑作『夜への前ぶれ』『窓のしずくと動く赤ん坊』『MOTHLIGHT』や問題作『自分自身の眼で見る行為』が公開され、改めて映画とは“見る行為”との格闘を強いられることを我々に認識させました。2002年中には、近年のブラッケージのライフワークである「Hand-Painted
Films」(35mmの映画ポジフィルムをダイレクトにスクラッチし、ペイントを施した諸作品)の公開を控えています。
欧米では1990年代後半からブラッケージの作品について再評価が試みられ、パリのポンピドーセンターをはじめとする美術館やアートセンターで特集上映が組まれています。しかし、日本でブラッケージの作品はアンダーグラウンドブームの1960年代後半から70年代はじめにかけて草月アートセンターや国立近代美術館、アメリカ文化センターなどで他のアンダーグラウンド映画と一緒に上映された以外は、オフシアターやシネマテークで単発に上映された程度です。同じアメリカの個人映画作家として著名なジョナス・メカス本人が来日し、何度も特集上映が組まれていることと比較しても、スタン・ブラッケージの多くの作品はほとんどと言ってよい程紹介されていないのが実情と言えます。
そこで、日本の実験映画作家、アーティストにも多大な影響を与えてきたスタン・ブラッケージの全貌を明らかにし、<映像表現とは何か!、映画とは何か! 個人とは何か!>を改めて問い直す作業を、消費されるだけの映像が氾濫している、この21世紀の冒頭に必要だと考えます。
2003年秋に、日本でもスタン・ブラッケージ回顧展開催を行うべく、2002年の春から正式に実行委員会を立ち上げ、未だ来日経験のないブラッケージ本人を招聘して大規模な特集上映を是非実現させたいと思います。
暫定的にブラッケージの諸作品を日本で配給している(株)ミストラルジャパンを連絡先として準備を進めていきます。
「スタン・ブラッケージ回顧展実行委員会」へ多くの方の参加を募ります。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
「スタン・ブラッケージ回顧展」(仮) 概要
★スケジュール
2003年10月〜2004年春にかけて、日本各地(数カ所)で回顧展を実施。
2003年10月にスタン・ブラッケージ本人を招聘(2〜3週間程度)、講演&レクチャー等の実施。
回顧展、講演開催場所:ミニシアター、アートセンター、美術館、大学、専門学校、等。
★プログラム、等
上映作品は全10プログラム、約50本程度の作品の上映を予定。
そのうち日本での未公開作品は約半数以上を予定。
上映フィルムは、欧米の実験映画ライブラリー、(株)ミストラルジャパン、スタン・ブラッケージから提供予定。
★基金、その他
国際交流基金、芸術文化振興基金、その他ファンデーションへの予算申請。
「スタン・ブラッケージ回顧展」(仮)カタログ編集。
★実行委員会について
2002年春に「スタン・ブラッケージ回顧展実行委員会」を結成。準備を進める。
「スタン・ブラッケージ回顧展実行委員会」は映像作家、映画監督、美術家、アーティスト、デザイナー、映像研究者、等によって構成する。
実行委員長、事務局長、実行委員、等の担当を設けて実行委員会運営する。
メーリングリストにて実行委員会議、オフ会による会議を開催。
メールアドレスが無い方への報告書やニュースレターも不定期発行予定。
「スタン・ブラッケージ回顧展」専用のWeb Siteの開設。
「スタン・ブラッケージ回顧展実行委員会」呼びかけ人
水由章、片山薫
連絡先:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-27-5 カザマビル
(株)ミストラルジャパン内
TEL : 03-3479-7499/FAX : 03-3479-7436
e-mail : info@mistral-japan.co.jp
★リレーエッセイ「私とブラッケージ」第3回(説田礼子Part1)
「自分自身の眼で見る行為」とは...
私がブラッケージの名前を最初に聞いたのは、確か数年前であったと思う。実験映画という、まだその頃の私にとっては耳慣れない、しかしどこか刺激臭を放つ言葉とともに、その名前はいつも私の脳裏のどこかにへばりついてきた。その後、何度かアメリカのアンダー・グラウンド・シネマの巨匠である彼の作品を見るチャンスはあったにも関わらず、残念なことにも、恥ずかしいことにも、見逃し続けてきた。今回、久しぶりの日本滞在中に、彼の作品が何と堂々と1ヶ月間もの間、東中野の映画館で上映されるという情報を入手した。それも、噂で聞いたとか、ぴあで見た、などという次元ではなく、そもそもこの私が実験映像に興味を持ち始めた頃、その世界で現在進行形にて活躍中の作家たちを紹介してくれた人が手がけた企画であったから、尚更大事件だ。
「ブラッケージ・アイズ」とタイトルされたこの上映会は、文字通り「ブラッケージの眼」であり、「見る」という行為と格闘しつづけている現在68歳にして現役である一人のフィルムメーカーの、60年代前後の重要な作品8点である。
愛妻ジェーンの出産シーンを撮影した「窓のしずくと動く赤ん坊 / Window waterbaby moving」、夜のカットの詩的な美しさと、闇の中の放浪する視点に強烈な死の予感や目眩を感じさせる「夜への前ぶれ
Anticipation of the night」、フィルムに蛾の羽や植物、花びらを直接貼りこんだ(フィルムへのコラージュのみでカメラを使っての実際の撮影は全く行っていない)「モスライト
/ Mothlight」、全編が初紹介される伝説の「ドッグ・スター・マン / Dog star man」など、それぞれにオリジナリティ溢れる作品である。
その中でも今回日本で初公開のフィルムのひとつである「自分自身の眼で見る行為 /The act of seeing with one's
own eyes」は「見る」という行為の究極なフォームとして常に語られてきた。
1971年に制作されたこの伝説的な作品はピッツバーグのアレゲーニー検死官事務所においての死体解剖の記録である。
とあっさり書いてしまうと、テーマがテーマなだけに、そのような極度の美意識を持つ一部の愛好家に向けて作られたカルト・ムービーだとか、ポルノグラフィック的な意味合いの作品だと誤解を受けかねない。
しかし、この作品の特異点は、ただ見るということに徹した眼が、解剖作業を徹底的に追う、つまり反対からいえば、全くの事実、その仕事に携わる人にとって見ればまさしく日常的な作業の記録が、当時38歳のある作家のカメラに収まったということだ。
32分にわたって延々と続くシーンのうち、正直言って私が目を開けていられた時間はトータルにしても多分10分そこそこなのではないか、と思う。生理的にこれ程までにきつい映像は、生まれて多分初めてかもしれない。解剖台の上で最初の死体にメスが入った瞬間、私は頭の中が白くなるのを感じ、唾液ともつかず胃液ともつかない生唾が口の中に溢れてくるのを感じた。
何か定規のようなもので肉体を測る儀式めいた作業や、手首や足首に挿入された管(血を抜くためと思われる)を見ているときにも、もちろん既に恐怖の前触れにおびえていた。そして実際の血や皮、肉を目の当たりにして、呼吸も苦しくなってきて、もう倒れるか吐いてしまうのではと思い、目を閉じた。
幸いにもこの映画はサイレントで、メスの音やのこぎりの音などは伝わってこない。また、その場に居合わせたら感じるであろう耐えがたき肉体の腐敗の匂いからも我々は解放されている。
しかし、私の目は自分自身の眼で見る行為を放棄してしまった。もちろん、その映像を何とか見続けようと必死に頑張り続けたことも事実である。またそこまで頑張ろうとしている自分とは、一体何者だろうかとも自問した。既に体験済みの人からは、見ているうちに慣れてきてしまう、そのうちに人間の肉体という気がしなくなってくる、という話をその都度聞いていたが、私にとってはそんなに生易しいものではなかった。「語るは易し、見るは難し」である。このように書いている今でも、皮のめくれた赤い臓器などが脳裏を直撃してくる。また、それが決して作り事ではないことへのショック。思考回路の完全に止まってしまった頭を攪拌するようにして再び眼を開けると、そこには頭蓋骨にのこぎりの歯をあて脳味噌を取り出すシーンあった。もう突き放して欲しいと心の奥で叫びながらも、私は撮影している彼の執拗なまでの見ることに対するこだわりを体験する以外にはいられなかった。
今でも余りに多くのことが頭の中を巡っている。この強烈な体験の後、「見る」という行為の難しさを、言葉の無意味さを、戸惑いながらも噛みしめている。とりあえずは、最近無意味な暴力や死の多い劇映画が多く、がっかりさせられることが多いが、そういう人にこそこの作品を見て欲しいと強く願わざるを得なかった。
・・・説田礼子(せつだれいこ)・・・
インディペンデント・キュレーター
東京都出身。パリ11区在住。立教大学文学部仏文科卒業後パリ第4大学へ留学。画廊勤務、グルノーブル国立現代美術センター研修などを経て展覧会をはじめとする文化イベントの企画を行う。「失敗は成功のもと」を信じて、同時代の人たちと何かを作り続けられたらなあ、と願っている。
(Part2は次回に続きます)
★映画上映、イベントの紹介
●ーJ.S.バッハ『フーガの技法』をめぐってー●
愛知芸術文化センター イベントトークPart10
Act.1 コンサート
中野振一郎 チェンバロ演奏 J.S.バッハ『フーガの技法』他(予定)
Act.2 映画上映
石田尚志監督『部屋/形態』(7分、16mm、1999年)『フーガの技法』(20分、16mm、2001年)愛知県立文化センター・オリジナル映像作品 最新第10弾
Act.3 トークショー&詩の朗読
J.S.バッハと『フーガの技法』をめぐって
石田尚志(映画監督)中野振一郎(チェンバリスト)吉増剛造(詩人)
司会・監修:萩原朔美(多摩美術大学教授)
日時:2002年1月30日(水)18:30開演
場所:愛知県芸術劇場小ホール(愛知芸術文化センター地下1F)
入場料:当日3,000円(前売2,500円)
問い合わせ:tel052-971-5511内線724
URL http://www.aac.pref.aichi.jp
●「映像のコスモロジー6 -光の散乱(産卵)-」●
☆「BRAKHAGE EYES」オールナイトでトーク、作品も上映した神戸在住の映像作家、小池照男氏企画による個人映像の秀作が一堂に会する上映会のお知らせです。
日時:2002.2.2〜2.17
場所:神戸市灘区 アトリエ2001
企画:TERUTE 協力:アトリエ2001/ファインダーズ・ビューロー
入場料:無料
問い合わせ:アトリエ2001 tel/078-861-6854
●プログラム
2/2(土)18:00〜RETINA2001〈ジャパンプログラム〉辻あきこ『生活画』他
2/3(日)14:00〜辻直之 個展『夜の掟』『恐竜屋』他
2/8(金)18:00〜パーソナルフォーカス2001
2/9(土)14:00〜川口肇 個展『8ミリ短篇作品集』『異相ver7.6.1』他
2/10(日)14:00〜映像新作展「映像のコスモロジー展」に関わってきた作家達による新作展
2/11(月.祝)14:00〜関根博之 個展『エチュード』『MAYA』他(新作あり!)
2/15(金)19:00〜CAMP 作品集
2/16(土)17:00〜パーソナルフォーカス2001
2/17(日)14:00〜西山修平×荻原貴之 個展『微温』『its isn't
anything』他
(西山作品)
『カエルトコロ』『自己増殖』他(荻原作品)
※水由章の作品が2/2(土)『瞬息1〜3』、2/8(金)&16(土)『瞬息4』、2/10(日)『水光色』(本邦初公開)、片山薫の作品『朝の薔薇の指』が2/8(金)&16(土)に上映されます。関西方面の方は是非お越し下さい。
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ニュース配信:ミストラルジャパン
info@mistral-japan.co.jp
[スタン・ブラッケージ 映画の極北 ML]
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