STAN BRAKHAGE
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LOVE SONGS
作品解説
作品解説
『アーサン・エアリー』
(1995年、16ミリ、カラー/サイレント、2分)
まだら模様の地面や岩の姿や根のような形が現われては、一瞬静止しながらも青光りする緑や青の間を中へ上へと水平方向にどんどん吸い込まれていく。緑と黒の絵具使いが秀逸。

『美しき葬列』
(1996年、16ミリ、カラー/サイレント、1.5分)
明るい色合いの宝石や花にも似た形がさまざまなアクセントを作り出し、濃厚な黒が、ハードにスクラッチされた画面と相まってアブストラクトなイメージを作り出す。

『コミングルド・コンテナーズ』
(1997年、16ミリ、カラー/サイレント、3分)
ここ数年間、フィルムにペイントすることのみを続けてきたスタン・ブラッケージが「撮影への回帰」を図った作品で、撮影はガン手術前日に行われている。現状では最後の実写映画と言われ、一種の遺言的意味を含んでいる。水泡を超クローズアップでとらえた画面はまさに美しい。

『カップリング』
(1999年、16ミリ、カラー/サイレント、4.5分)
ハンドペインティングによるオリジナル素材のポジとネガを組み合わせた映像は非常に有機的で、血と錆の赤がくすんだ緑と交じり合った陰気な彩色を放っている。あたかも細胞やDNAがダンスをしている最中に写された顕微鏡画像のようで、性的なイメージを暗示させる。

『LOVE SONG』
(2001年、16ミリ、カラー/サイレント、11分)
絵具のむらによって二つの像の存在を作り出し、光の透過性を活かしながら黒を中心とした絵具が多様なリズムを伴って激しく画面上をゆれる。浮き彫りのように描かれた身体の部位が、次第にからんでは離れ、結合を繰り返しながら、多彩に色づけられた卵型のものの周りで何度も爆発しては、黒い精子の姿になる濃い輪郭線が表情豊かに描かれた性器と織り合わさっていく。

『LOVE SONG 2』
(2001年、16ミリ、カラー/サイレント、2分)
前作とよく似た性愛のイメージを、多様なリズムをつけずに1コマずつ再現した作品。

『マイクロ・ガーデン』
(2001年、16ミリ、カラー/サイレント、3.5分)
結晶にも似た花々の茎に心引かれながら、庭の小径を歩いていた自分を写したメアリー・ベスによるポートレイト・フィルムに応えて。赤、淡い青、そして紫色の植物が、褐色の背景にその身をややくねらせ、やがて干からびた泥土に現われる白いひび割れ模様のような閃光を放ち始める。鉱物的にも見えるイメージはあらゆる色と混ざり合ったさまざまな緑へと姿を変える。

『コンクレサンス』
(1996年、16ミリ、カラー/サイレント、3.5分)
イギリスの哲学者A・N・ホワイトヘッドの形而上学の用語である接合(コンクレサンス)からタイトルをとっている。接合の原理とは、より強い相関関係を持った世代を通じて新たな進歩を遂げることを目的に、モノが自らの実現のために有している推進力、接合に向かう創造的な衝動のことを指している。共同制作者であるフィル・ソロモンとのコラボレートの意味を問う作品。上下左右から流れる光の動きと、猫の毛のようにも見える光の乱舞がまさに美しい。

『エレメンタリー・フレーズ』
(1994年、16ミリ、カラー/サイレント、33分)
スタン・ブラッケージがハンドペイントしたフィルムを、フィル・ソロモンはハンドメイドの合成装置によって速度を変えたり、多重露光(オーバーラップ)や長時間露光(バルブ撮影)を取り入れたり、さらには光の投射やフォーカスに変化を加えるなどして、めくるめく映像万華鏡の世界を効果的に作りあげている。音楽のメロディーやリズムとも異なるフレージング(各楽節に分ける句切り法)的イメージを映像に取り入れた画期的作品。観客は33分もの間、サイレントの画面に魅入りながらも自らの内面に音感を自覚せずにはおかない。

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